January 24, 2005
感謝の気持ちをおすそわけ
■よくある話
会社帰りには、ターミナル駅から始発の電車に座って家に向かいます。
その日は、途中の駅から乗ってきたおじいさんに席を譲りました。
「遠くまで乗っていかれるんでしょうに・・・」
ヨーロッパの老紳士が使っているような、細工のおしゃれなステッキをつきながら、ひざが悪いのか、ゆっくりと時間をかけて腰をおろしていきます。
「いえ、それほどでもありませんので・・・」と、おじいさんの目の前でつり革につかまって、本の続きを読みはじめました。
それから2、3駅過ぎたところで、そのおじいさんの隣の席が空きました。「ここへおかけなさい」と、穏やかな笑顔で手招きしてくれます。
遠慮なく座ると、「私は○○駅まででして・・・。」
おじいさんがにっこり微笑んで、話しかけてきました。私が降りる2つ手前の駅です。
「私は××駅なんです。○○駅は母校があるので多少なじみがあるんですよ。駅のどちら側にお住まいなんですか?」
それから話が弾み、お孫さんも私と同じ母校に通っているということ、この春に卒業して就職するということ、そういえば自分の初任給は40円で、食費や寮費で毎月半分が消えていってしまったな・・・、などと、にこやかに話してくれました。
■かと思っていたら・・・
「今も、現役でご活躍されていらっしゃるんですか?」
おじいさんの醸し出す品の良さと身なりがそう思わせるので、失礼な質問かな?と思いながらも、聞いてみました。
「えぇ、肩書きだけですが、会社で顧問をしております。まぁ実際には何の役にも立っておりませんが・・・」
うん、やっぱり・・・。思わず納得です。
「今の時期は、お年始のご挨拶やらお集まりなどでお忙しいんでしょうね?」
「そうですね。今日も昼間はご挨拶で何人かの方とお会いして、先ほどまで、新年会に顔を出してきて、その帰りなんですよ。」
すると、おじいさんが話題を変えて、「初詣はどちらかへ行かれましたか?」と聞いてきます。
「初詣ですか?自宅の近くの神社へお参りに行った程度ですが・・・」
「そうですか。鎌倉の銭洗弁天はご存知ですか?」と言って、ポケットから↑の写真の「御賽銭」を取り出し、名刺と一緒に「どうぞ」と差し出してくれます。
■ !?
唐突なことに驚いていると、こう話してくれました。
「これは、30年間毎年続けていることです。前に勤めていた会社で役員に就任したときに、『ここまでこられたのは周りの方のおかげ。何かの形でお返ししたい』と考えて、思いついて始めたことです。」
「毎年12月30日に銭洗弁天へ行ってお金を清めて、大晦日に紅白を見ながら、妻と一緒にひとつずつ包んでいます。それを新年に会う方々に感謝をこめて渡しているのです。今日もみなさんに渡してきたところです。よかったらどうぞ。」
ほんの15分間のことなのに、おじいさんはその気持ちをおすそわけしてくれました。
そのことを思うと、感激でたちまち胸がいっぱいになります。
「本当に嬉しいです。どうもありがとうございます!」
家に着いても、感激がなかなか醒めやりません。
御賽銭の包みを開けると、ぴかぴかに光った5円玉と、メッセージの書かれている薄い紙が挟まっていました。
「この御宝銭は、昭和51年元旦以来、皆様のご繁栄を祈願いたし、銭洗弁財天様の霊水で洗い清めたお宝でございます。・・・」
■心新たに
年末に友人や先輩など色々な方と会いましたが、別々に会った2人が、偶然、同じような話をしてくれました。
「最近、『心から相手のために何かしてあげたい』っていう思いが強くなってきたんだ。自分から周りにいる人たちを大切にするという気持ちも必要なんじゃないか。そしてそんな気持ちを持てる環境にいることが幸せな気持ちにつながるんじゃないか、って考えているんだ。」
彼らは彼らの、おじいさんはおじいさんのやり方で、アクションを起こしています。
私も私なりのやり方を見つけて、少しずつ、周りにいる人たちへ感謝の気持ちをおすそわけしていきたいな・・・。
おじいさんとの出会いがきっかけで、心新たにしたところです。
会社帰りには、ターミナル駅から始発の電車に座って家に向かいます。
その日は、途中の駅から乗ってきたおじいさんに席を譲りました。
「遠くまで乗っていかれるんでしょうに・・・」
ヨーロッパの老紳士が使っているような、細工のおしゃれなステッキをつきながら、ひざが悪いのか、ゆっくりと時間をかけて腰をおろしていきます。
「いえ、それほどでもありませんので・・・」と、おじいさんの目の前でつり革につかまって、本の続きを読みはじめました。
それから2、3駅過ぎたところで、そのおじいさんの隣の席が空きました。「ここへおかけなさい」と、穏やかな笑顔で手招きしてくれます。
遠慮なく座ると、「私は○○駅まででして・・・。」
おじいさんがにっこり微笑んで、話しかけてきました。私が降りる2つ手前の駅です。
「私は××駅なんです。○○駅は母校があるので多少なじみがあるんですよ。駅のどちら側にお住まいなんですか?」
それから話が弾み、お孫さんも私と同じ母校に通っているということ、この春に卒業して就職するということ、そういえば自分の初任給は40円で、食費や寮費で毎月半分が消えていってしまったな・・・、などと、にこやかに話してくれました。
■かと思っていたら・・・
「今も、現役でご活躍されていらっしゃるんですか?」
おじいさんの醸し出す品の良さと身なりがそう思わせるので、失礼な質問かな?と思いながらも、聞いてみました。
「えぇ、肩書きだけですが、会社で顧問をしております。まぁ実際には何の役にも立っておりませんが・・・」
うん、やっぱり・・・。思わず納得です。
「今の時期は、お年始のご挨拶やらお集まりなどでお忙しいんでしょうね?」
「そうですね。今日も昼間はご挨拶で何人かの方とお会いして、先ほどまで、新年会に顔を出してきて、その帰りなんですよ。」
すると、おじいさんが話題を変えて、「初詣はどちらかへ行かれましたか?」と聞いてきます。
「初詣ですか?自宅の近くの神社へお参りに行った程度ですが・・・」
「そうですか。鎌倉の銭洗弁天はご存知ですか?」と言って、ポケットから↑の写真の「御賽銭」を取り出し、名刺と一緒に「どうぞ」と差し出してくれます。
■ !?
唐突なことに驚いていると、こう話してくれました。
「これは、30年間毎年続けていることです。前に勤めていた会社で役員に就任したときに、『ここまでこられたのは周りの方のおかげ。何かの形でお返ししたい』と考えて、思いついて始めたことです。」
「毎年12月30日に銭洗弁天へ行ってお金を清めて、大晦日に紅白を見ながら、妻と一緒にひとつずつ包んでいます。それを新年に会う方々に感謝をこめて渡しているのです。今日もみなさんに渡してきたところです。よかったらどうぞ。」
ほんの15分間のことなのに、おじいさんはその気持ちをおすそわけしてくれました。
そのことを思うと、感激でたちまち胸がいっぱいになります。
「本当に嬉しいです。どうもありがとうございます!」
家に着いても、感激がなかなか醒めやりません。
御賽銭の包みを開けると、ぴかぴかに光った5円玉と、メッセージの書かれている薄い紙が挟まっていました。
「この御宝銭は、昭和51年元旦以来、皆様のご繁栄を祈願いたし、銭洗弁財天様の霊水で洗い清めたお宝でございます。・・・」
■心新たに
年末に友人や先輩など色々な方と会いましたが、別々に会った2人が、偶然、同じような話をしてくれました。
「最近、『心から相手のために何かしてあげたい』っていう思いが強くなってきたんだ。自分から周りにいる人たちを大切にするという気持ちも必要なんじゃないか。そしてそんな気持ちを持てる環境にいることが幸せな気持ちにつながるんじゃないか、って考えているんだ。」
彼らは彼らの、おじいさんはおじいさんのやり方で、アクションを起こしています。
私も私なりのやり方を見つけて、少しずつ、周りにいる人たちへ感謝の気持ちをおすそわけしていきたいな・・・。
おじいさんとの出会いがきっかけで、心新たにしたところです。
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│日々のデキゴト