March 21, 2005

たくみ割烹店・工芸店

■鳥取再発見!

3連休に法事があり、十数年ぶりに鳥取へ行ってきました。
鳥取、と聞いて思い浮かべるのは、「鳥取砂丘」か「二十世紀梨」程度。県人口もたったの60万人、小さくて地味な土地なので(失礼!)、旅行で訪れたことのある人は少ないのではないでしょうか。

鳥取には父方の実家があるので、小さい頃は時々顔を見せに行っていました。お約束の「砂丘」でラクダに乗ったり、海水浴では、父が素潜りしてウニを取ってくれたり、夜にはホタルの群れに手を伸ばして掴み取り、空を見上げると、星が川を作るようにきらきら瞬いていて・・・、と、当時は、大自然満喫コース。

最近は、祖父母とも他界してしまったため、行き来することもほとんどありませんでした。今回は、久しぶりに足を踏み入れるので、今までとは違った楽しみを見つけてみよう!と、うきうき下調べ。

そこで見つけたのが、鳥取の中心地にある「民藝コーナー」。
土蔵造りの建物が並ぶ一角があり、「鳥取民藝美術館」「童子地蔵堂」「たくみ工芸店」「たくみ割烹店」の4つが並んでいます。

■美の本流ここにあり

「民藝」という言葉を作ったのは、柳宗悦。バタフライスツールやキッチン用品デザイン等で有名な、あの柳宗理のお父さんです。

宗悦の言う「民藝品」とは、「一般の民衆が日々の生活に必要とする品」のこと。

観賞するためにつくられたものではなく、 なんらかの実用性を備えたもの、
誰もが買い求められるほどに値段が安いもの、
特別な作家ではなく、無名の職人によってつくられたもの、
など、定義は他にもいくつかありますが、そこに宿る民藝美は、「健康な美」「自然の美」「無心の美」であるとしています。

宗悦は1925年に「民藝運動」を始め、「民衆の暮らしから生まれた手仕事の文化を正しく守り育てることが、私たちの生活をより豊かにするのだ」、と主張しています。

観光地で「民藝品の店」と名のって土産品を売る店を時々目にします。ちゃちくて古くさいもの、というイメージがありますが、本来の意図されたものとは大きくかけ離れてしまっているようですね・・・。

鳥取の「民藝コーナー」は、鳥取出身の医師吉田璋也が、この柳宗悦の主張に深く感銘を受けて、たくみ工芸店を作ったのが始まりとのこと。「たくみ」の名は宗悦が命名し、昭和7年、日本で始めて民藝品を扱う店として鳥取に開店したのだそうです。

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■用の美

到着した夜、たくみ割烹店へ出かけました。
このお店は、「鳥取民藝美術館」の延長として作られています。モノの美しさを鑑賞するだけでなく、使ってみて美しさを味わう、という生活的美術館です。このお店で使われているグラス、食器はすべて、隣の「たくみ工芸店」で売られてもいます。

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器の美しさ、使いやすさはもちろん、料理は鳥取で獲れる海の幸や山の幸をふんだんに使い、目でも舌でも楽しめるものでした。次から次へと運ばれてくるお皿を見るたびに大興奮♪

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食事の最後には、おひつに入ったごはんが出てきました。その中に入っていたおしゃもじが、これまた秀逸!見た目は武骨ですが、握り部分が手のひらにぴったり。そのおかげでご飯をよそうのがと?っても楽。

早速、翌日にたくみ工芸店へ買いに走りました。幸運なことに手に入れることができたのですが、お店の人によると、このおしゃもじを作っている職人さんが、もう作るのを辞めてしまったそうです。その前日には10本まとめ買いしたお客さんもいたとかで、残るはあと2本とのこと。素朴でよい品が消えていくのを知って、なんだか寂しい気持ちに・・・。

あとは、気に入ってしまってその場から離れられなくなってしまった「山根窯」のジャグを、さんざん悩んだあげくひとつ購入♪

元来、陶磁器には目がなくて、5年前に行った倉敷の大原美術館では、富本憲吉浜田庄司バーナード・リーチの陶器に惹かれ、その頃から「民藝品」としての陶器に興味を持っていました。そんなところにこのお店との出会い・・・。鳥取へたまに出かけるのも悪くないな、と思った連休でした。

at 23:34│ 旅したコト