チーズまわりのコト

March 13, 2006

春の訪れ!ブロッチュチーズ

■ナポレオンの母が愛したチーズ

コルシカ島は、ナポレオンの生まれ故郷。

ナポレオンの母親がパリに移り住んだ時、コルシカ特産のチーズが恋しくなり、ナポレオンが母のために作らせた、と記録に残っているチーズがあります。

ブロッチュという、ヤギもしくは羊、または両方のミルクを混ぜて作るフレッシュチーズです。

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山がちなコルシカ島では、厳しい地形・気候でも育ちやすいヤギや羊の牧畜が盛ん。歴史的にも、紀元前3世紀以前から、先住民がヤギや羊の牧畜をしていたらしく、ここでのチーズはもっぱら、ヤギや羊のミルクを使ったものばかりです。

チーズを作るときに余った水分(ホエイ)に、ヤギか羊のミルクを加えて作られます。ブロッチュはイタリアのリコッタチーズともよく似ていて、優しくておだやかな甘味とミルクの風味がします。

塩を加えて煮詰めていくうちにチーズの成分が固まってくるので、それを水切りカゴに入れ、水分を抜いて固まったらできあがり。

表面の縦線は水切りカゴの跡。昔はいぐさや籐で編んだカゴを使い、それに入れたまま売られていたそうですが、衛生上の理由から、最近ではプラスチック製のカゴに入れているんだそうです。

ブロッチュは上質で少量しか作られず、まさに今しか食べられない旬のチーズです。しかも、日保ちも良くないので、コルシカ島以外では滅多に手に入れられないもの。

そうはいってもさすが日本!場所は限られますが、フェルミエアルパージュなどのチーズ専門店で、季節限定で売られています。

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現地では、コルシカのチーズケーキ(フィアウォーネFiadone)や、オムレツ、ラビオリの具に使われたりしているそうですが、今回はチーズの先生オススメの食べ方、栗のペーストと一緒に。穏やかなブロッチュの甘味に栗の濃厚な風味が加わって、相性はバッチリ!チーズというよりは、デザート感覚で楽しめます。

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今回は、チーズの先生が、2年に一度、パリで開催されているサロン・デュ・フロマージュに顔を出しがてら、フランスやイギリスをあちこち旅してきたので、そのおみやげチーズをたくさん持ち帰ってきてくれました。

カタルというフランスのヤギ乳製のチーズには、木炭粉で十字架が描かれていて印象的な外観。

真ん中のチーズは、パリのチーズ屋さんのオリジナルチーズ。フランスの青かびチーズ、フルム・ダンベールの間に、レーズンやナッツ類など色々なモノが挟まっています。何が挟まっているかは秘密、ということで、その名もミステリー・ダンベール

オレンジ色のチーズは、フランスのサンネクテールというチーズに、穴を開けて作ったというミュロル。風味が穏やかで食べやすく、サンネクテールを知っている人には、同じチーズとは思えない優しさです。

総勢12種類のチーズを、手荷物で持って帰ってきてくれた先生に頭が下がると同時に、春ならではのブロッチュを取り寄せておいてくれたプランにも感激です♪

空気の匂いや草花の変化で春を感じることもできますが、チーズの旬を知ることで、季節の変化を楽しむことができるんですね。チーズは奥が深い!まだまだ知らないことばかり・・・。

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February 20, 2006

「修道士の頭」チーズ

■花びらのように削って食べるチーズ

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スイスの北西、フランス(フランシュ=コンテ地方)との国境にあるジュラ州。そこにあるベルレー修道院で、古くから作られているというチーズがあります。

その名はテット・ド・モワンヌ(Tete de moine)

teteは「頭」、moineは「修道士」という意味で、ズバリ、「修道士の頭」

名前の由来は、修道士の剃髪とチーズを削る様子が似ているところから、という(イラストが不気味だけど笑える!)と、かつて、教会では、修道士の頭数分のチーズを蓄えていたから、という説があるようです。

公式HPをよく見ると、頭のてっぺんがツルツルの修道士達のイラスト。さらによく見ると、一番手前の修道士さんが、ジロールという専用の削り器で、チーズをひらひらと花びらのように削っています。

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ジロール、というのはフランスのジロール茸、というキノコのこと。

実物を見たことがないのですが、はなびら茸やマイタケのように、花びらのような形のキノコだそうです。

この「ジロール」にテット・ド・モワンヌを差し込み、ハンドルをくるくる・・・と回していきます。

すると表面がよれながら削れて、花びらのような華やかな形になります。(「白きくらげ」にも見えるかな?)

その花びらがジロール茸に似ていることから、この削り器を「ジロール」と呼ぶようになったそうです。

テット・ド・モワンヌは、牛乳製のセミ・ハードタイプのチーズ。オレンジ色の表皮を持ち、地味な見た目。一方、味は、こってりとしてコクのある、濃厚でインパクトのある風味を持つチーズです。

そのため、スライサーで薄く切ったとしても、風味が強く出すぎて、濃厚さばかりが強調されてしまうようです。

でも、ジロールでひとたび花びらにしてあげると、ふんわり空気を含んでちょうど良い感じ。地味だったチーズが見た目も華やかに変身し、舌触りも良く、そしてもちろん、濃厚な旨味が口の中でやさしく広がって、と?っても美味しい♪

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先日、チーズの先生+仲間達で食事に行ったマッシュルームというフレンチレストラン。

キノコ料理が豊富なお店だけに、「はなびら茸のカルパッチョ」「はなびら茸と生ハムの手打ちパスタ」なんていうメニューがありました。チーズ仲間だけに、このメニューには敏感に反応です!

話は戻って、このジロールという削り器、お値段が1万円前後もしてしまいます。私の周りでは、自宅に常備している人を見かけたことがありません。

手軽に楽しめるものとして、公式HPには、小型のテット・ド・モワンヌとジロールがセットされたモノが紹介されています(とっても可愛くて一目ボレ♪)。でも残念ながら、日本で売られているのを見たことがないのです。どこかの会社が取り扱ってくれたら嬉しいのにな・・・。

晩秋?冬が旬のテット・ド・モワンヌ。
運良くレストランで、テット・ド・モワンヌ+ジロールのペアを見かけたら、ぜひ、味わってみてください。目でも楽しめ、濃厚な旨味にも感激することうけあいです!

(注:上記のレストランにはバラエティに富んだチーズが用意されていましたが、私達が行ったときは、テット・ド・モワンヌは置いてありませんでした。念のため☆)

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January 30, 2006

体験!モッツァレラチーズ作り

■あつあつ!

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日の出とともに家を出て、千葉の新生酪農へ。

日曜日は、チーズの先生+仲間とともに、モッツァレラチーズの製造体験です。

モッツァレラチーズは、イタリア南部の水牛製のモノが本家本元。モッツァレラ・ディ・ブーファラ・カンパーナ(カンパーニャ地方の水牛のモッツァレラ)、というのが正式名称です。

お値段は少々張りますが、牛乳製との違いは歴然!ジューシィでミルキー、口の中で優しい甘味がふわ?っと広がります。何もつけないで、そのまま食べてもとっても美味しい。

日本では、水牛のミルクが手に入らないので、もちろん今回は牛乳製のモッツァレラを作ります。新生酪農の牛乳は、ミルク本来の美味しさを残したまま作られているので、牛乳製といえども期待が高まります。

さて、白衣をはおり、帽子で髪の毛をすっぽり覆い、白いゴム長靴を履き、エアー・カーテンをくぐったら、いざ、作業開始!まずは、牛乳を固める工程です。

乳酸菌とレンネット(固めるための酵素)を入れると、それまでタプタプの液体だった牛乳が、ゆるやかに杏仁豆腐状態へと変化。

ぷるん、と固まった牛乳を、今度は細かくカットしていきます。そうすると、乳清(ヨーグルトの上澄みと同じ)、という水分がどんどん排出されていきます。まさに杏仁豆腐!

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「杏仁豆腐」をかきまぜ続けること約30分。みんなで交代しながら、チリトリみたいなかきまぜ道具で、ひたすらグルグルグル・・・。杏仁豆腐の角が取れて、だんだんマシュマロに見えてきます。

その間に、乳清をコップに入れてもらい試飲タイム。ミルクの甘い香りがほんのりして、ほっと一息。そして、午前中の作業はここまで。

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あとの細かい作業は工場の人へお任せして、待ちに待ったランチタイム!みんなで1品ずつ持ち寄って、ちょっとしたパーティ気分です♪

朝早く起きて焼いたという、感激のサーモン・パイをはじめ、ビーツ入りのポテトサラダ、ゴルゴンゾーラのペンネなどなど、盛りだくさん。

私達には欠かせない美味しいチーズの数々、ワイン、パン、フルーツ。それに、新生酪農特製のアイスクリームをご馳走になりました。アイスクリームなのに、後味はとてもさっぱり。満腹のおなかにスーッと入っていきました。

房総の日差しはポカポカ。お腹も満たされ、早起きしたこともあって、ぽ?っとしていたら、「そろそろ準備ができましたよ!」、と工場からお呼びの声です・・・。さぁ、午後のお仕事開始!

先ほどまで水分に浮いていた「マシュマロ」は、すっかり水分が抜けて、白い四角い座布団になっていました。

それにナイフを入れ、細長くカットしていきます。そこへ入れるのは何と熱湯です。シリコン製の「ミッキーマウスの手」のような手袋をはめた工場の方が、手で、どんどんこねあげていきます。わー、熱そう・・・。

すると、ぱさぱさに見えた白い塊に、みるみる艶が出てきました。ツルツルしていて、思わず撫でたくなります。そのうちに、びよ?んと伸びるように。

ここからが私達の出番!

熱い湯に浸したままの塊を、どんどんちぎり、好きな形に仕上げていきます。ちなみに、イタリア語で「ちぎる」ことを、「mozzare(モッツァーレ)」といいます。モッツァレラチーズは、「ちぎって作るチーズ」ということなんですね。

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ちぎる作業は力がいるので、本場イタリアでは2人がかりでちぎる、と聞いていたけれど、今回はそれほどでもなく、ひとりでも大丈夫。

それよりも難しかったのが、「好きな形に仕上げる」こと。

頭の中では「ウサギ」と思いながらも「ハート形」になったり、「お月さま」と思いながら「北京風水餃子」ができあがったり・・・。

みんなも、「あっ、ニンニクができちゃった」「チューリップを作ってたのに、タコのウィンナーだよ・・・」、という感じ。

ゴム手袋をはめていたものの、湯気の熱さにやられて根気が続かず、終いには、無難なモッツァレラチーズばかり作ってしまいました。あー、暑かった。モッツァレラチーズ作りは暑さとの勝負です。

作ったチーズは、工場の方が「作者」と関係なく適当に分けてくれて、即日持ち帰りです。そして家に帰って開けてみたら、思わず、吹き出してしまうような形が続々と・・・(ゴメンナサイ!でもお互い様ね)。

ほら貝のようなコルネットのような巻きタイプ、ただの細長い棒のスティックタイプなどなど。みんなはそれぞれ何を作りたかったのかな?、と想像するだけで大笑いです。

早速、出来立てを食べよう!と、カプレーゼにしてみました。
形はどうあれ、味はバツグン!作りたての上、ミルクの美味しさが際立っています。あっさりしているので、パクパク食べてしまいました。

まだまだたくさん残っているので、味噌漬けにしたり、トーストと一緒に焼いたりなど、しばらく、モッツァレラ三昧の日々になりそうです。

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November 21, 2005

初冬のチーズ強化週間:その2

■「フランスチーズ鑑評騎士」の会

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フランスチーズの普及に貢献した方々が受け取る勲章、シュヴァリエ・デュ・タストフロマージュ

その方々が集まる年に1度のパーティに、チーズの先生のお供で参加してきました。先生も、この勲章を数年前に授与されています。

今年新たに20名のシュヴァリエが誕生!とのことで、その叙任式、その後、懇親パーティが続きます。

平日の開催だったので、仕事帰りに懇親パーティから参加してきました。
(↑の女性は、フランソワーズ・モレシャンさんです。一緒に写真も撮ってもらいました♪)

少々遅れて到着すると、着席ビュッフェスタイルの会場は、それはそれは華やかな雰囲気。

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色鮮やかな帽子やドレス姿の女性、緑のリボンの先についたメダルを首から提げたシュヴァリエの方々など、まるで中世のパーティのような雰囲気に包まれていました。

指定されたテーブルへ向かうと、先生が同じテーブルの方々と談笑中。

テーブルへ向かう間にも、会場の両脇に並ぶお料理が気になってしまい、席に着くなり挨拶もそこそこに、すぐにお料理へ突進してしまいました。

さすがシュヴァリエの集いだけあって、メニューも垂涎モノばかり。
オマール海老、和牛リブロース、イベリコ豚骨付きロース、鴨胸肉、蝦夷鹿などの肉・魚系の充実ぶりはもちろん、チーズを使った料理も豊富!

秋野菜を蒸したものにロックフォールソースをかけたもの、丸ごとポテトにカマンベール、ミモレット、ブルー・ド・ブレスを詰めて焼いたもの、ブリの燻製カルパッチョにはコンテがスライスされていました。

中でも行列ができていたのがチーズ・プラトー
フランス産のチーズあれこれが一堂に並び、好きなものを好きなだけ、お皿にとってもらえます。

ルブロション、サレール、マンステール、マロワールなど、熟成状態がすこぶる良く、たっぷりお腹におさめてきました。

デザートにも感激♪8種類のうち、チーズを使ったモノが5種類。サンタンドレのレアチーズケーキ、コンテのベイクドチーズケーキなどある中で、一番気に入ったモノは、ロックフォールチーズのアイスクリーム
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ロックフォールは羊乳製のブルーチーズ。ピリっと鋭い風味のチーズなのですが、アイスクリームに化けた見た目は、普通のバニラアイスクリーム。口に入れた瞬間もその鋭さはなく、むしろ甘いミルクの風味がたっぷり。後から追いかけるように、「あっ、ロックフォールだぁ・・・」と分かる感じ。余韻にひたるアイスクリームでした。

私の先生の「先生」にお目にかかったり、チーズプロフェッショナル協会の方とご挨拶したり、チーズに関わる活動をされている方がこんなにいらっしゃるなんて・・・、と感動した夕べでした。

at 01:40|Permalink

初冬のチーズ強化週間:その1

■シェ・ラ・タント

チーズ愛好家なら、きっと一度は手にしたことがある「チーズ図鑑」。その本でも有名なチーズ研究家、山田友子さんがオーナー・シェフをつとめるビストロ、シェ・ラ・タントへ行ってきました。

ちょうど、「チーズとワインの相性の会」というイベント期間中とのことで、友人の美食家夫妻にお誘いいただきました。旦那さまが行きつけにしているそうで、彼は山田さんとはすっかり顔なじみの間柄です。

山田さんは、フランス各地の有名レストランで修行をされ、某有名デザイナーのハウス・シェフもつとめたことのある経歴の持ち主。チーズに詳しいだけではなく、お料理の腕前も本格的です。

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今回はチーズを楽しみたいね、ということで、料理は控えめに1皿ずつ。そして楽しみにしていたチーズは以下のとおり。

・ トム・ド・シェーヴル ダルパージュ
・ サレール
・ アボンダンス ダルパージュ


どのチーズも、サヴォワ地方やオーヴェルニュ地方のもの。高山植物を夏の間にたっぷり食べた牛や山羊のミルクで作られたチーズです。

ひとつ目のチーズは今まで食べたことがなく、かつ、私が少々苦手としているシェーヴル(山羊)チーズ。苦手というよりは、美味しいものとそうでないものの差が激しくて、本当に美味しい!という確信がないときは、恐る恐る口に入れていたのでした。

ところがところが、このトム・ド・シェーヴルには大感激!味わいは穏やかで、むっちりとした感触は私の一番好きなサン・ネクテールというチーズそっくり。山羊くささもほとんど感じられず、旨みが口中に広がって美味しい?!の一言。これならどんなに大きくても、丸ごと1つ食べてしまいたいほど。

山田さんに伺うと、「これはサヴォワの山で作られたチーズで、その土地でほとんど食べられてしまうの。パリにも出回らないくらいよ。ロワールの山羊のチーズとは全然違うでしょ?」とのこと。おっしゃるとおり!

2つ目と3つ目のチーズは、どちらも食べたことがあって、とても好きなタイプ。今回は風味が非常に際立っていて、ミルクのとってもいい香りが口中にふわ?っと広がるようでした。もぅ、うっとり。

シェ・ラ・タント(おばちゃんち)、という店名どおり、気さくな山田さんとチーズに詳しい女性1名のおふたりで切り盛りされているこじんまりとした居心地のよいビストロです。次回は、お料理もあれこれいただきたいなぁ。

「ビストロ・シェ・ラ・タント」
 千代田区九段南3?6?9
 03-3263-0670
 11:30?14:00 18:00?21:30

■そして、モンドール焼き

念願かなったモンドール焼き!

チーズの学校主催のモンドール食べ比べに参加し、フランス産とスイス産のモンドールを楽しんできました。
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フランス産のモノは無殺菌乳、スイス産は殺菌乳を使用していたり、表面を洗う回数が違うので、表皮の色もかなり違いがあります。これは好みの問題ですが、個人的には、フランス産のモンドールが好きかな。

両方の試食を楽しんだあと、いよいよモンドール焼きの準備。
ニンニクのみじん切りと白ワインを注ぎ、パン粉を散らします。そして、木箱をアルミ箔で覆ったら、あとはオーブンに入れて焦げ目がつくのを待つばかり。

う?ん、いい香り♪おなかが一杯でも、この香りについつい手が伸びてしまいます。秋も深まり、冬の足音が聞こえだした季節にはまさにオススメ。これから12月にかけてホームパーティが目白押しですが、間違いなく、あと何回かは食べるつもりでいます!

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